πの計算

id:namipika:20070316:1174054012のコメントの

てか、その値が本当にπになるとはちと信じられんな

に対するレスだゴルァ(゚д゚)

16 \arctan \frac{1}{5} - 4 \arctan \frac{1}{239} = \piの説明。


定義

まず、y = \tan xのとき、 x = \arctan y
定義域の問題があるが、 0 = \tan 0を含む、連続な部分をとっとこう。
あとは、とりあえず、正接の定義

正接(tan)
座標(1,y)がx軸に対して為す角がxであるとき、y=\tan x

は頭に入れておこう。

複素表現

さて、 \arctan \frac{1}{5}の値は、原点と(1,1/5)を通る直線の傾きを表す角度である。
角度を計算するよい方法は、複素数を使うことなので、コイツを複素数であらわす。
 \arctan \frac{1}{5} = \angle 1 + \frac{1}{5}i
(\angleは角度をとる関数として勝手に使用)

角の演算

さて、角度の16倍は、複素数では16乗だ。
ゆえに、さっきの式は左辺に16をかけると、右辺は16乗される。
 16 \arctan \frac{1}{5} = \angle ( 1 + \frac{1}{5}i)^{16}
同様に、1/239のほうも
 -4 \arctan \frac{1}{239} = \angle ( 1 + \frac{1}{239}i)^{-4}
(-4をかけるので、-4乗)
左辺足すことは、右辺ではかけることなので、
 16 \arctan \frac{1}{5}-4 \arctan \frac{1}{239} = \angle ( 1 + \frac{1}{5}i)^{16}( 1 + \frac{1}{239}i)^{-4}

計算

さてさて、こんな複素数の計算やってられるか、ってことで少々ズルをする。
\angle(1+\frac{1}{5}i) = \angle(5+i)
\angle(1+\frac{1}{239}i)^{-4} = \angle (239-i)^4を利用して、分数を省く。(グーグル先生に出してもらうために)
(5+i)^{16} = -208797818624 - 3494830080 i
(239-i)^{4} = 3262465916 - 54606720 i
この二つを掛け算するが、これ以上はグーグル先生では誤差が出るのでWindows電卓で手動計算('A`)


(-208797818624 - 3494830080 i)(3262465916 - 54606720 i) \\ =(-208797818624 \cdot 3262465916 - 3494830080 \cdot 54606720) \\ +(208797818624 \cdot 54606720 - 3494830080 \cdot 3262465916 )i \\ = (-681195766595950019584-190841207626137600) \\ + (11401764018211553280 -11401764018211553280 )i \\ = -681386607803576157184 + 0i

結果

頭トチ狂いそうになりますが、まぁちゃんと虚数部が0になりました。
当然ながら、\angle -681386607803576157184 + 0i = \pi
なので、
16 \arctan \frac{1}{5} - 4 \arctan \frac{1}{239} = \pi
が示せたことになるね。

余談

賢明な読者は
\arctanにも和の公式があるんじゃね」と思うだろう。
その通りである。
それについては俺がうろ覚えなのでまたの機会に。