昔書いた一行リレー

大掃除っぽいことをしていたら、
id:McAfと一緒に書いた一行リレーが出てきたので書いてしまう。

ちなみに、これは交代で一行ずつ書いている。

許可は取っていないので、公開を認めない本人さん約1名がいらっしゃいましたらご連絡どうぞ。



暇。蝦。エビ キダ☆タロー 何この流れ ('A`)シラネ
じゃああれだ。 一行リレーだ。 お題決めるべし。


 ある冬の日の午後。一人の男が、雪に彩られた白銀の街を歩いていた。

 男の装いは黒く、覆面とずきんと鎖かたびらを着用し、ネクタイをしめて、アタッシェケースを持っていた。

「……何故私がこのようなことを……」

 そうつぶやきながらも、男は木の枝で足跡を消しながら、後ろ向きで素早く移動してゆく。

 淀みなく作業を行うその姿は、ある種の職人をも想起させた。

 と、黒の男の向かう先、五十間ぐらいの距離に、もう一人、赤い装いのとこがこちらへ移動していた。

 赤い男も同様に、足跡を消しながらムーンウォークで歩いている。……はっきり言って無意味である。

 二人は互いに全く同じルートをたどっており、あと数秒で衝突するかに見えた。

 その時、

ひでぶっ!」

 突如として赤い男が破裂した。

 そして、赤い男の血で、周りの雪と、黒の男が真紅に染まった。

 それはさながら、白い世界に咲いた紅い華。

 その中心の、今や紅くなった男が、長くため息を吐きながらつぶやいた。

「……また、私の方が生き残ってしまったか」

 そして、彼はアタッシェケースを開けた。中には彼の七つ道具が入っている。

 歯ブラシ、歯磨き粉、ドライヤー、寝癖直し、手鏡、ポマード、マイ枕。

 そして、彼はマイ枕を開けた。中には今度こそ彼の七つ道具が入っている。

 ――はずだった。

 彼の意に反して、中から出てきたのはまるはち真綿だった。

 一瞬の硬直の後、男は何事もなかったかのようにそれを取り出し、身体に付着した血を拭き取り始めた。

 次に鏡で顔をチェックし、血が付いていないのを確認してから、歯を磨き、髪を整え、七つ道具をアタッシェケースに収める。

「よしっ、完ペキっ」

 彼の一日はいつもこうして始まるのだ。

 先ほどの出来事は朝の儀式。必ずどちらかが死ぬ、命を賭けた男の戦い。